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革新的自殺研究推進プログラム
Innovative Research Program on Suicide Countermeasures
研究成果報告(平成30年度)
平成28年4月1日に施行された改正自殺対策基本法の新しい理念と趣旨に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として、新たな自殺総合対策大綱(平成29年7月25日閣議決定)が策定されました。革新的自殺研究推進プログラムは、新たな自殺総合対策大綱に示された、科学的根拠に基づいた自殺総合対策を強力に推進することを目的に、必要な研究のための環境の整備を総合的かつ効果的に行うためのプログラムです。
自殺は多様かつ複合的な原因及び背景を有することから、保健医療のみならず他部門との連携のあり方を含めた学術的基盤を学際的・国際的観点から強化し、国際的動向を注視しつつ我が国の自殺総合対策をさらに推進していくことが不可欠です。本プログラムは社会における「生きることの阻害要因(自殺のリスク要因)」を減らし、「生きることの促進要因(自殺に対する保護要因)」を増やすことを通じて、社会全体の取組として自殺リスクを減らし、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す施策を達成することを目指すというわが国の自殺総合対策に貢献するためのものです。
「プログラムに関する基本方針」に基づき自殺研究のイノベーションをはかるため、次の3領域を設定し、革新的な自殺研究を推進しています。
領域1:社会経済的な要因に着目した研究
領域2:行政施策の企画立案及び効率的な推進のための研究
領域3:公衆衛生学的アプローチによる研究
平成30年度は12の研究課題が公募により採択され、精力的に研究が進められました。プログラムの運営については、ガバニングボードによるプログラム推進の基本方針と運営方針の策定にもとづき、プログラムディレクターが各課題の進捗状況を把握し、研究課題推進委員会による個別課題への助言を行うという仕組みが構築されました。
採択された研究課題は、いずれも自殺総合対策大綱で示された新たな自殺総合対策の方向性を踏まえた学際的・国際的な最新の研究であり、その成果をわが国の自殺総合対策の実務に迅速に還元することを目指す意欲的なものです。
本報告は平成30年度に実施された各研究課題の最新の成果をまとめたものです。この報告を通じて、革新的自殺研究推進プログラムの成果を広く国民に届けることができるようにしたいと考えています。革新的自殺研究プログラムの成果をいち早く日本の自殺総合対策に反映させることができるよう、引き続きプログラムの推進に努めて参りたいと存じますので、関係者の皆様におかれましては、今後とも本プログラムへの支援をお願い申し上げます。
自殺総合対策推進センター長 本 橋 豊
平成30年度革新的自殺研究推進プログラム 委託研究成果報告書 全体 PDF
領域1:社会経済的な要因に着目した研究
(課題番号)研究課題 |
研究代表者 |
所属機関 |
研究成果報告書 |
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(1-1) 政治経済的な要因に注目した日本における自殺対策と自殺率についての研究 |
上田路子 |
早稲田大学政治経済学術院 | |
(1-2) がん医療における自殺ならびに専門的・精神心理的ケアの実態把握 |
内富庸介 |
国立がん研究センター中央病院 支持療法開発部門 | |
(1-3) 高齢者ボランティアと協働するソーシャル・キャピタル強化による自殺対策の推進に向けた研究 |
藤原佳典 |
東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究センター |
領域2:行政施策の企画立案及び効率的な推進のための研究
(課題番号)研究課題 |
研究代表者 |
所属機関 |
研究成果報告書 |
---|---|---|---|
(2-1) 自殺予防に対して医療、保健、福祉、心理等の専門家を目指す学生が有するべき知識と技術向上のための教材開発に関する研究 |
堤 明純 |
北里大学医学部 | |
(2-2) 自殺対策と連動した死因究明と法医学研究―特に無理心中と子どもの死及び遺族対応に焦点を当てて |
岩瀬博太郎 |
千葉大学 大学院医学研究院法医学教室 | |
(2-3) 総合的自殺対策に資する公的ミクロデータおよびオープンデータによる統合的探索的政策形成支援モデルの開発 |
久保田貴文 |
多摩大学経営情報学部 | |
(2-4) インターネット・SNS等の仮想空間における若者の援助希求に関する意識と自殺対策の政策的方向性に関する研究 |
髙橋義明 |
中曽根康弘世界平和研究所 |
領域3:公衆衛生学的アプローチによる研究
(課題番号)研究課題 |
研究代表者 |
所属機関 |
研究成果報告書 |
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(3-1) 国際的視野から見た労働条件・働き方と自殺問題に関する研究 |
松田晋哉 |
産業医科大学医学部 | |
(3-2) 社会格差が自殺や精神的健康に及ぼす影響に関する社会疫学的影響評価研究 |
近藤克則 |
国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 老年学評価研究部 | |
(3-3) 子供の貧困と自殺対策に関する総合的研究 |
藤原武男 |
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 国際健康推進医学分野 | |
(3-4) 精神保健医療福祉サービスの連動性の向上と過労自殺防止対策に関する研究 |
伊藤弘人 |
労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター | |
(3-5) ICTを用いた自殺対策の新たな方向性の検討 |
伊藤次郎 |
特定非営利活動法人OVA |
【参考】平成29年度の成果については、 研究成果(平成29年度) をご覧ください。